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01/善滝(?)SS


禁忌。

頭では解ってたはずなのに。

何故、自分は侵してしまったのだろう。

侵せばそれ相応の処罰が待っている。

――何故侵したか、など……今となっては解らない。

ただ、今意識に残っているのは『後悔』だけ。

 

 

罪を侵したのは自分。なのに、なのに――、何故あの人が裁かれなければならないんだ!?

「なんで? なんでだよ!? 俺が悪いンじゃん! なのに、何で!!」

滝川は去ろうとする善行の背中に叫んだ。善行はゆっくり振り返る。

「アナタはワタシの部下です。アナタはワタシの命令に従っただけ。総ての責任はワタシにあります」

納得が行かない。命令など受けていない。自分が誤り引き起こした事態。責任を命を持って償わなければいけないのだとしたら、償うべき命は自分の命だ。

「違う! 俺が、俺がっ――」

何かを言おうとする滝川の口を善行の手が塞ぎ、言葉を遮る。

そして、他の人に聞かれない程度の小声で話し始めた。

「アナタが連れてかれれば、命が無いのは明白です。でも、僕ならば、命を奪われる迄の処罰は受けません」

そう言った善行の眼は優しい色をしていた。

「先刻迄、こんな不公平な役職は嫌いだったんですが……。アナタを守る術の一つになるなら、それでも良いと、初めて思いましたよ」

滝川の口を押えていた手を降ろし、善行は優しく微笑んだ。善行を見詰めた侭、滝川は何も言えなかった。

「後は、頼みましたよ」

その言葉を残し、善行は滝川の前から姿を消した。

 

 

何も出来なかった自分。

悔しくて、悔しくて、悔しくて……。

気付くと皆が居て、自分が無事だった事を喜んでくれていた。

でも。

「違うんだ、違うんだ……!!」

何度も言う。自分は死ぬ筈だったんだ。本当なら、死んでいておかしくなかったんだ。

でも、あの人のお陰で……。

「コレは俺の命じゃない、あの人がくれた、あの人の命だ」

滝川はそう呟きながら、ただ泣く事しか出来なかった。

もう、戻らない人を想い――。

 


本当はいちゃいちゃハッピーな善滝が書きたいんじゃぁ!!