「本気で人を好きになったコト、ある?」
いきなりかと思いながらも城之内は海馬に聞いてみる。
「ない」
海馬の返事に城之内は軽く頬を膨らませて外方を向いた。
じゃぁ、なんで俺と一緒に居るんだよ?
好きだから一緒に居てくれてるンじゃないのかよ?
オマエにとって俺って一体なんなんだよ?
そんな城之内の様子を見て、海馬が苦笑する。
「なんだ『貴様を好きだ』とでも言って欲しかったのか?」
「そんなんじゃねぇよ!!」
顔を真っ赤にしながら城之内が怒鳴る。
「ただ……ただ、オマエって結構冷たいから、そういう感情ってあるのかなぁ、って……」
半分本当で半分嘘。
半分の嘘は海馬の言う通り、好きって言って欲しかった。
半分の本当はその好きって感情があるか知りたかった。
海馬は一つ溜息を吐き、城之内の頭を抱き寄せて囁く。
「言わなきゃわからんのか?」
「だから聞いてンだろうが? バーカ」
悪態をつきながらも城之内は少し幸せな気分になった。